「しづらい」と「しずらい」は、発音が似ているため間違えやすい言葉のひとつです。
「この言葉、どっちが正しいんだっけ？」と迷うことはありませんか？
また、日常会話や文章を書くときに、どちらを使えばよいのか悩んだことがある人も多いでしょう。
実は、「しづらい」が正しい表記であり、「しずらい」は誤りです。
しかし、なぜ「しずらい」と間違えやすいのか、その理由を知っていますか？
また、「しづらい」はどんな場面で使うのが適切なのか、ほかの言葉に言い換えることはできるのかも気になりますよね。
「しづらい」と「しずらい」の違いや正しい使い方、言い換え表現などを詳しく解説します。
正しい日本語を身につけて、会話や文章表現をより洗練されたものにしていきましょう。
「しづらい」と「しずらい」どっちが正しい？
まず、「しづらい」と「しずらい」は、どっちが正解なのか、なぜ、間違えやすいのか、解説します。
「しづらい」は正しい表現
「しづらい」は、「する」＋「づらい」が結びついた正しい日本語表現です。
「づらい」は、「～するのが難しい」「～しにくい」という意味を持ちます。
たとえば、「話しづらい」「歩きづらい」といった形で使われることが一般的です。
この「しづらい」という表現は、公式な文書やビジネスの場面でも正しく使われる言葉なので、安心して使うことができます。たとえば、次のような例があります。
- この道は狭くて歩きづらい。
- 相手の反応が怖くて話しづらい。
- 手袋をすると細かい作業がしづらい。
このように、「しづらい」は日常生活の中でもよく使われる言葉です。
「しずらい」は誤り！なぜ間違えやすいのか
一方で、「しずらい」という表記は誤りです。
しかし、なぜこの間違いが広まってしまったのでしょうか？
主な理由は、日本語の発音の変化にあります。
「しづらい」は口に出して発音すると「しずらい」と聞こえることがあり、その影響で誤って「しずらい」と書いてしまう人が多いのです。
また、日本語には「ず」と「づ」の使い分けが難しい単語がいくつかあります。
特に「ず」と「づ」が入れ替わっても意味が変わらないように感じることがあり、「しずらい」と誤記してしまうことがあるのです。
実際に間違いやすい例として、次のような表現が挙げられます。
| 誤った表記 | 正しい表記 |
|---|---|
| 話しずらい | 話しづらい |
| 聞きずらい | 聞きづらい |
| 見ずらい | 見づらい |
このように、「しずらい」という表現は間違いであることを覚えておきましょう。
国語辞典での「しづらい」の意味
では、国語辞典では「しづらい」はどのように説明されているのでしょうか？
一般的な国語辞典では、「しづらい」は「するのが難しい」「しにくい」といった意味で説明されています。
例えば、「広辞苑」や「大辞林」などの辞書には、以下のように記載されています。
しづらい（しづら・い）
するのが困難である。しにくい。
例：「歩きづらい」「話しづらい」
つまり、「しづらい」は公式に認められた日本語の表現であり、「しずらい」は辞書には載っていない誤用ということになります。
「しづらい」の語源と成り立ち
つづいて、「しづらい」を理解するために、どのようにしてできたのか、意味と由来をまとめました。
「する」＋「づらい」でできた言葉
「しづらい」は、「する」という動詞に「づらい」という形容詞がつながってできた言葉です。
「づらい」は、「～するのが難しい」「～しにくい」という意味を持ち、動作のしにくさや困難さを表現する言葉として使われます。
例えば、「歩く」＋「づらい」で「歩きづらい」、「話す」＋「づらい」で「話しづらい」となるのと同じように、「する」＋「づらい」で「しづらい」という形が成立しています。
「しづらい」は日常会話でもよく使われ、動作が困難な状況を説明するときに役立つ言葉です。
たとえば、次のような使い方があります。
- このペンは書きづらい。（書くのが難しい）
- 人が多すぎて歩きづらい。（歩くのが困難）
- 相手が怖くて話しづらい。（話すのが難しい）
このように、「する」＋「づらい」の形はさまざまな動詞と組み合わせて使われることがわかります。
「づらい」の意味と由来
「づらい」は、「つらい（辛い）」という言葉が変化したものだと考えられています。
「辛い（つらい）」は「困難」「苦しい」という意味を持っており、「～しづらい」は「～するのが辛い」＝「～しにくい」という意味で使われるようになりました。
また、「づらい」と似た言葉に「にくい」がありますが、この2つには微妙な違いがあります。
| 言葉 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| づらい | 主観的に「やりにくい」と感じる | 歩きづらい（足が痛いなどの理由で） |
| にくい | 客観的に「難しい」と判断される | 読みにくい（文字が小さいなどの理由で） |
例えば、「この字は読みにくい」は文字が小さい、薄いなど客観的な理由で読みにくい状態を指します。
けれども、「この文章は読みづらい」は主観的に理解しにくい、意味がつかみにくいといった感覚的な要素が含まれます。
似た言葉：「見づらい」「食べづらい」との関係
「しづらい」と同じように、「づらい」を使った言葉には以下のようなものがあります。
- 見づらい（見えにくい）
- 聞きづらい（聞こえにくい）
- 食べづらい（食べにくい）
- 言いづらい（言うのが難しい）
例えば、「この本の文字が小さくて見づらい」といえば、主観的に「見えにくい」と感じる状態を表します。
「この料理は食べづらい」といえば、硬すぎる、骨が多いなどの理由で食べるのが困難な状態を示します。
このように、「づらい」は人の主観に基づいて「～するのが困難」と感じるときに使われる言葉です。
「しづらい」を正しく使うためのポイント
「しづらい」を間違えずに使う大切なことを詳しく解説します。
「づらい」と「にくい」の違い（例：「食べづらい」と「食べにくい」）
「しづらい」と似た表現に「しにくい」がありますが、この2つには微妙なニュアンスの違いがあります。
| 表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| しづらい | 主観的に「やりにくい」と感じる | この靴は滑りやすくて歩きづらい。 |
| しにくい | 客観的に「難しい」と判断される | この道は狭くて歩きにくい。 |
たとえば、「この料理は食べづらい」と言う場合、個人的に食べにくいと感じていることを表します。
一方、「この料理は食べにくい」と言うと、一般的に食べるのが難しい状態（骨が多い、硬いなど）を表すことが多いです。
文章での使い方・間違えやすい例文
「しづらい」は日常会話や文章の中で頻繁に使われますが、間違えやすい使い方もあります。
以下に正しい例と間違いやすい例を示します。
正しい使い方
この部屋は静かすぎて、話しづらい。（静かすぎて会話しにくい）
お店が混んでいて、入りづらい。（人が多くて入りにくい）
上司に意見を言いづらい。（心理的な抵抗がある）
間違いやすい使い方
この靴は小さくて履きずらい。 → 履きづらい。
雨で地面が滑りやすくて歩きずらい。 → 歩きづらい。
この機械は操作しずらい。 → 操作しづらい。
このように、「ずらい」と誤って書かないように気をつけましょう。
「しずらい」と書かないための覚え方
「しづらい」を正しく書くためには、いくつかの覚え方があります。
「づらい」のつく単語とセットで覚える
「しづらい」以外にも「づらい」を使う単語を覚えておくと間違えにくくなります。
見づらい（視界が悪い）
聞きづらい（音がはっきりしない）
歩きづらい（道が悪い、靴が合わない）
「しずらい」と書きたくなったら、「見づらい」「聞きづらい」などと並べてみて、違和感がないか確認しましょう。
「にくい」との違いで考える
「しにくい」に置き換えられる場合は「しづらい」が正しいです。
たとえば、「操作しづらい」は「操作しにくい」と言い換えられるため、「づらい」が正解です。
「しづらい」の言い換え表現を紹介！
最後に、「しづらい」の言い換えやビジネス・日常会話での使い分けをご紹介します。
「やりにくい」や「難しい」などの言い換え
「しづらい」を使わずに、意味を伝えられる言い換え表現はいくつかあります。
特に、場面によって適切な言葉を選ぶと、より自然な表現になります。
| 言い換え表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| やりにくい | 作業や行動がしにくい | この道具は大きすぎて使いやすいとは言えない。 → この道具は大きすぎてやりにくい。 |
| 難しい | 一般的に困難である | この文章は難しくて読めない。 → この文章は難しくて理解しづらい。 |
| 抵抗がある | 心理的にやりにくい | このお願いは言いづらい。 → このお願いは抵抗がある。 |
| 不便だ | 状況的にやりにくい | 駅から遠くて通いづらい。 → 駅から遠くて不便だ。 |
このように、「しづらい」を使わずに、文脈に合わせた言い換えが可能です。
シーン別の適切な言い換え方（ビジネス、日常会話）
「しづらい」を言い換える際、フォーマルな場面ではより丁寧な表現が求められます。
ビジネスシーンでの言い換え
「しづらい」→「困難である」「支障がある」
- （カジュアル）この件は説明しづらいです。
- （ビジネス）この件は説明が難しいため、資料をご覧ください。
「しづらい」→「調整が難しい」
- （カジュアル）このスケジュールだと参加しづらいです。
- （ビジネス）このスケジュールでは調整が難しいため、別日をご提案できますでしょうか？
日常会話での言い換え
「しづらい」→「やりにくい」
- この靴は歩きづらい。 → この靴は歩きにくい。
「しづらい」→「言いにくい」
- それはちょっと言いづらいな。 → それはちょっと言いにくいな。
例文で見る使い分け
実際の会話や文章で、どのように「しづらい」を言い換えられるのか、例文を見てみましょう。
カジュアルな会話
- 「このペン、書きづらいね。」 → 「このペン、書きにくいね。」
- 「最近、上司に話しかけづらいんだよね。」 → 「最近、上司に話しかけにくいんだよね。」
フォーマルな場面
- 「この仕様だと使いづらいですね。」 → 「この仕様だと操作が難しいですね。」
- 「このレイアウトだと見づらいかもしれません。」 → 「このレイアウトだと視認性に問題があるかもしれません。」
このように、文脈に応じた言い換えを意識すると、より適切な表現になります。
「しづらい」と「しずらい」どっちが正しい？使い方や言い換えのポイントまとめ
「しづらい」と「しずらい」の違いを理解し、間違えずに使うためのポイントを押さえておきましょう。
「しずらい」は誤り！正しくは「しづらい」
「づらい」は主観的な「やりにくさ」を表す（例：「話しづらい」「歩きづらい」）
「にくい」との違いを意識する（「歩きにくい」＝客観的に困難、「歩きづらい」＝主観的に困難）
他の「づらい」を使う単語とセットで覚える（「見づらい」「聞きづらい」など）
フォーマルな場面では適切な言い換えをする（「説明しづらい」→「説明が難しい」）
これらのポイントを意識すれば、「しずらい」と間違えることはなくなるでしょう。
日本語には似た意味を持つ言葉が多くあり、正しい使い分けが求められます。
「しづらい」と「しにくい」も微妙な違いがありますし、「見づらい」と「見えにくい」、「言いづらい」と「言いにくい」など、少しずつ意味やニュアンスが異なります。
言葉を正しく使うことで、伝えたい内容をより正確に表現することができます。
特に、ビジネスの場面や文章を書くときは、相手に誤解を与えないよう、適切な言葉を選ぶことが大切です。
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